このページでは、今沢山の人たちが体験していると思われる共通の社会的問題・課題について、私の考えを書いておこうと思います。
1.社会的課題
まず、マクロ的に考えてみます。
現代人として、大なり小なり皆が抱えている共通の悩みと言えば、おそらく『孤独』ではないでしょうか?様々な不幸がそこから生まれており、社会問題としてこれが一番深刻ではないかと思っています。
なぜこんな事が起きているのか、昭和生まれで和を重んじる価値観の下で幼少時代を過ごした私から言わせれば、それは自己を重んじて現代人の価値観が多様化しすぎたからだと思います。
情報が溢れ、様々な考え方が肯定された結果、SNSを通じて同じ価値観を持った人同士で集まるようになりました。(昔でしたら、たとえ自分が納得できなくても、周りの集団・組織の中で生きていくために、良くも悪くもそれを受け入れる風潮があったと思います)
そうやって人々が分断されていった(知識や経験に深い溝が出来ていった)ので、話しても本当の意味で理解し合えず、多くの人が深い孤独を感じるようになったと考えています。
ここで重要なのは、価値観が多様化した事自体の是非ではなく、問題はそれによって、似た者同士でしかつるまなくなったという事です。
「自分が理解出来ないものは変なもの扱い」
美輪明宏さんの言
現在、日本社会全体が活気の無いように見えるのは、昭和時代のように集団・組織としての和の力が活かせなくなったからだと思います。時には、考え方の異なった者同士が集まる事で、新たな可能性が見えてくる事もあるはずです。
ただ、この現代社会における『孤独感の解消』という課題は、社会全体で取り組むべきマクロ的問題であり、かつ個人としても取り組むべきミクロ的問題でもあるため、中々簡単には論じる事ができません。なので、もう少し範囲を狭めて考えてみます。
2.ビジネス的課題
価値観の多様化によって生じているビジネス上の問題として、一体何が考えられるかと言いますと、それは『不公平な人物評価と待遇』だと思います。
なぜそう思ったかと言いますと、西暦2000年代にオーストラリアで働いていた時の経験からです。当時私が働いていた職場環境はオープンで、上下関係をあまり意識する必要もなく、待遇も公正でやりがいがありました。
米ギャラップの調査によると、日本人の仕事に対する熱意は約5%で、世界最下位だったそうです。勤勉というイメージが強かったのに、今では随分変わってしまいました。
日本人のやる気をもっと喚起するためにも、社員の給料を上げるかどうかという議論をする前に、まずはもう少し日本の職場での待遇を公平・公正にする事を考えた方が良いと思います。
自分の理解できるものだけを評価するのではなく、たとえ理解できない分野であっても、少なくとも不当に・安易に評価してしまう風潮は変えていく必要があります。
現状では、生活に余裕が持てず、そして将来には希望が持てず、やる気が削がれてしまうのは当然です。それが、昔だったら考えられないような問題を生み出していると感じました。
海外の成長企業はどこも人材育成に力を入れています。日本でも無形資産としてその重要性が日増しに高まっていますが、モノや数字の資産として見るのではなく、感情のある人として見ることが大事です。
再び経済を活性化させるのであれば、そのカギは『人』にあります。公平・公正な意識をいかに浸透させ、世の中の不公平感を無くせるかが、復活の要になると私は思っています。