このページでは、戦略コンサルタントである味水が、常に心掛けているコンサルティングの姿勢についてご紹介します。

キャリアアップを目指すビジネスマン

普段から意識しているものを一つだけ挙げますと、それは『臨機応変(機に臨み変に応じる)』です。

臨機応変の画像

なぜ臨機応変を心掛けているのかと言いますと、戦略コンサルタントは常に変化している状況下において、広い視野で物事を観察し、判断していかなくてはならないからです。歴史上の偉人たちもその重要性を説いています。

この『臨機応変』という言葉は、儒教の『易経』に出てくる『君子豹変、大人虎変(くんしひょうへん、たいじんこへん)』が大元になっていると考えられます。『君子豹変』とは、君子は過ちを犯してもすぐにそれを認めて反省し、態度を改めるものだという良い意味です。そして『大人虎変』とは、優れた人が時代に合わせて自己変革する事を言います。

例えば、儒教の流れを組む陽明学者であり、かつ後世に多大な影響を与えた江戸時代の経世家、熊沢蕃山の『時処位』論は、時間・置かれている状況・立場によって物事の正解は変わるという事を説いており、臨機応変という考え方の延長上にある教えとなります。

現実においてこの思考法を実践した代表例としては、同じく陽明学者で幕末の思想家、横井小楠がいます。参考までに、勝海舟がどのように小楠を評価したかを以下に記します。

「小楠はとても尋常のものさしでは分からない人物で、かつ、いっこう物に凝滞せぬ人であった。それゆえに一個の定見というものはなかったけれど、機に臨み変に応じて物事を処置するだけの余裕があった。こうしてなんにでも失敗したものが来て善後策を尋ねると、その失敗を利用して、これを都合の良い方に移らせるのが常であった」

勝海舟『氷川清話』より 角川文庫

以上のように、小楠は問題を抱えている人が来訪すると、相談に乗り、解決策を示していたようです。このような所から、彼は戦略家としてだけでなく、コンサルタントとしても非常に優秀だったのではと思われます。

私自身、コンサルティングの姿勢は小楠に倣うよう努め、物事の正解はその人および周りの状況によって常に変化しているという事を重々認識した上で、柔軟にクライアントを支援したり、問題に対処していけたりするように心掛けています。

「千変万化する情勢の渦中にあって、節操を保つただ一つの道は、遠大の目的を堅持しながら情勢と共に移り変わることである」

ウィンストン・チャーチル『わが思想・わが冒険』より 新潮社

「どんな多様な行動でも、そのひとつひとつがそのときそのときに正直に自然に行われさえすれば、おそらく何か符合するところがあるものだ。ひとつの意志から出ているからには、一見どんなに似ていなくても、それらの行動はやがて調和するようになるからだ。……いずれにせよ、とにかくいま正しいことを行いたまえ。いつも外観を侮蔑していれば、いつも正しいことができるものだ」

エマソン『自己信頼』より