海外留学・国際ビジネスで必要な英語力・学問とは?10年の海外在住経験から考察
皆さま、こんにちは
前回は、海外留学・国際ビジネスで必要な心構えについてユーチューブでお話したので、今回は海外で必要となる英語力や学問について考えてみたいと思います。
- 文章で読みたい方のために、以下に内容を書き出します
- 動画で見たい方は、本記事最後に掲載しています
本動画は、マイベストプロで掲載されているコラム記事とタイトル名は似ていますが、内容的には若干異なります。元コラムの詳しい内容を知りたい場合は、こちらのリンク先『国際ビジネスに必要な英語力とは?10年の海外在住経験から学習方法を考察』からご覧いただけるようになっています。
1.日本在住の日本人はどれだけ英語を学んだ方が良いか?
まず、素朴な疑問として、「日本に住んでいる日本人が、英語を学ぶ必要性があるのか?」という事を考えてみたいと思います。
これに対する私の答えは、(条件付きではありますが)「イエス」となります。
文法や読み書きなど、誰でも基本はちゃんと学んだ方が良いです。
しかし、現実を考えますと、ほとんどの人にとっては、生涯で英語を使いこなす機会などそうはないでしょうから、中学や高校で当たり前のように何年間も学ぶのは、正直もったいない気もします。
要は、実際に英語を使う必要性が出てくれば、その時に一生懸命、集中的に学べば良いのです。これは英語に限った話ではありませんが、今必要じゃないのに将来必要かも、という理由で学ぶのは、実務的観点からはあまり意味がないと考えます。
ただ、一つ例外と言えるのが、国語や算数・数学です。その理由は後で話します。
可能であればの話ですが、リスニングとリーディングに関しては、誰でも小さな子供の頃から学んでおいた方が良いと思います。なぜならば、海外からの情報を直接仕入れることが出来れば、大きなアドバンテージとなるからです。私自身、それを実感しています。
逆に、必ずしも常に必要でないのは、スピーキングとライティングです。この二つのスキルは日常的に使わないと衰えますので、すぐに使う予定が無ければ、何年もかけて学ぶ必然性はないと思います。
※ まったく必要ないと言っているわけではなく、あくまで優先度のお話です。
人によって他にやるべき事、学ぶべき事があるでしょうから、そちらに時間とお金を投資した方が良い、と私個人は思います。
2.英語圏で暮らす場合に必要な英語力とは?
次に、海外留学などで日本を出て、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどの英語圏で勉強・生活する場合に、必要な英語力についてお話したいと思います。
言うまでもない事ですけれど、あちらで生活するためには、リスニング力とスピーキング力は最優先で必要となります。その上で、大学で勉強・単位を取るためには、リーディング力とライティング力が重要になります。
あくまで学生として海外に行くので、日本にいる間にリスニング力とリーディング力さえ身に付けていれば、後はあっちに行ってから必死に勉強すれば、残りのスピーキングとライティングは短期間で何とかなると思います。
最初は英語が話せないため、いろいろ不便でしょうけれど、少なくとも英語を聞いたり読めたりは出来るのですから、身振り手振りで何とかやっていけるはずです。少なくとも私はそうでした。
※ スマホの翻訳機能ばかりに頼るのはお勧めしません。
3.国際ビジネスで必要な英語力とは?
それと、国際ビジネスで必要となる英語力についてお話します。
個々の状況によってもちろん違ってくるでしょうが、私の経験から言いますと、一般のビジネスパーソンの場合は大まかに三つのケースが考えられます。
一つ目は、海外の企業に直接就職するケースです。これは、高い水準のコミュニケーション能力が問われます。日本人にとってはかなりハードルが高く、私も、オーストラリアに住んでいた頃ならまだしも、日本に戻って何年にもなるので、スピーキング力やライティング力の観点から、海外の企業に直接就職するのは難しいと思います。
そして二つ目は、海外で起業する場合です。これは、その人個人に『専門技能がある』という前提でのお話となりますが、現地の人と基本的なコミュニケーションが取れるレベルの英語力があれば、十分と言えます。起業家にとって一番大事なのは熱意です。極端な話、英語がまともにしゃべれなくとも、とにかくエネルギッシュな方であれば、パワーで押しきって事業を立ち上げる事も可能です。昔、ヨーロッパ人だったと思いますが、実際にそういう人を見た事があります。
三つ目は、日本国内に支店がある欧米企業に、日本人が就職する場合です。普通、欧米企業が日本人の社員に求めているのは、仕事の高度な遂行能力であって、完璧な英語力ではありません。ですから、自分の仕事がちゃんと出来ていれば、余程酷くない限り、英語力が問題視される事は無いと思います。
もし将来、上記三つのいずれかのケースに当てはまりそうであれば、来たる時に備えて、英語をコツコツと学んでおいた方が良いと思います。
しかし、そうではないほとんどの方にとっては、時間やお金の投資に対して、どれだけのメリットがあるかを考えて、勉強していった方が良いと思います。例えば、子供の頃の私のように、日本語の読み書きが苦手なのに、それを差し置いて英語を学ぶのは本末転倒と言えるからです。
4.若い頃に学ぶべき基本の学問とは?
最後に、日本の国際競争力を高めるために、一般の日本人または子供が学ぶべき基本的学問について、私の考えを述べておきます。
もし自分に子供がいれば、その場合は国語と算数(または数学)だけは徹底的に自ら教えると思います。なぜならば、他のあらゆる学問を学ぶためには、この二つが絶対に必要となるからです。他人任せにはしたくありません。
そして義務教育で学ぶものは、出来るだけ少ない方が良いと思います。例えば、私が歴史や理科を教えるのであれば、国語や算数と紐づけて教える形にすると思います。それぞれ教科として分けた形で教える事はおそらくしません。
この世は全て連続的に繋がっている、万物一体の世界ですので、子供の頃から物事を分けて教えるやり方は、固定観念を植え付けてしまい、好ましくないと考えています。
注:
万物一体の考え方は、コラム記事『デジタル化が進む世の中で、中小戦略ファームおよび経営コンサルタントの取るべき道とは?』のアナログパートで論じました。
他には、なぜ人として学ぶのか、その本質的な意義を子供に教えられると良いと思います。
ここで一応注意事項として、私が今話しているのは、学問の一番大事な基礎を固めるための、幼稚園・小学校・中学校レベルでの総合学習の話です。高校に入れば、それら基本に基づいて、専門的な学問へと少しずつステップアップしていくのは当然と言えます。
最近ですと、日本政府は英語教育に加えて、プログラミングや投資教育を子供の頃から推進しようとしていますが、これはあまり賢いやり方とは思いません。なぜならば、人は皆24時間しか時間が無いからです。新たに何かを学ぼうとすれば、今まで学んできた何かを捨てなければなりません。
日本が何十年も成長せず、そして少子高齢化で子供が生まれないのも、その大元の原因を辿れば、教育そのものに問題があったと私は考えます。捨てるべきではない教えを捨ててきたからでしょう。
5.まとめ
今回は、ここまでとします。
海外留学・国際ビジネスで必要な英語力・学問について、私の考えをまとめてみました。
20年前、オーストラリアの大学で世界中の人々と一緒に勉強しましたが、その頃から日本が今後没落していく事は分かっていました。
まず、大学の中に日本人がほとんどいませんでしたし、そして中国人や台湾人をはじめとして、東南アジアの人々が熱心に勉強しているのを間近で見れば、日本の栄華も長くはない、と考えてしまうのは当然の事です。ハングリー精神を持った人たちに、ただ競争しても勝てるわけがありません。
日本の国際競争力を高めるためには、長期的な戦略の下で、日本の教育システム、社会システム、そして仕事環境にメスを入れる必要があります。ただ、それを政治家が行おうとすると、既存の利権に戦いを挑む事になります。ただでは済まないでしょう。
限られた選択肢の中で、日本人は何が出来るのか、よく考えてみる必要があります。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。