適材適所で人材不足という社会的問題を解決する
皆さま、こんにちは
今回は、人材不足という世の中の問題について、最近懸念しておりますので考えてみたいと思います。
定期的にニュースで取り上げられているトピックですが、すでに少子高齢化社会に突入しているにも関わらず、未だ本腰を入れて解決しようという動きが見られません。
1.3Kと呼ばれる職業で人材不足が深刻になりつつある
皆さまは、この「人材不足」という問題をどれくらい身近に感じておられるでしょうか?
おそらく、置かれている立場、例えば職業や世代によって感じ方は随分異なってくると思います。ただ、確実に言える事は、いずれは皆さん全員に大なり小なりこの問題が降りかかってくるという事です。
特に、いわゆる3Kと呼ばれる職業ではすでにこの問題が表面化しつつあります。
3Kとは、きつい・汚い・危険という意味の略語で、例えば土木・建築作業員、警察官、清掃員、看護師、介護士などが当てはまります。私も現在、コンサルティングのお仕事だけでは生計が立てられないので、アルバイトとして3Kのお仕事もしています。
世の中誰かがやらなくてはならない、社会貢献度の高いお仕事なので、個人的にやりがいは感じているんですけれども、一般的にこのようなお仕事は離職率が高く、中々人材が定着しない傾向にあります。
2.体力が必要でリスクのあるお仕事ほど、高齢者や外国人が多くなっている
その理由は、先ほど申し上げた『きつい・汚い・危険』という3Kの他に、給料が安いという点が考えられます。
基本的に若い人はいません。昭和や平成の時代であれば、体力が必要でリスクのあるお仕事は、健康な若い人がやるというのが当たり前でしたけれど、現在はその状況が逆転しており、高齢の方や外国の方が多くなっています。
3.怪我や病気のリスクが高まって医療費が増えてしまったのでは意味が無い
これは非常に由々しき事で、なぜかと言いますと、体力的にきついお仕事を年配の方が行う事により、疲労が蓄積して、怪我や病気のリスクが高まるからです。現在、非正規で働いている多くの高齢者は、別に好きで仕事をしているわけではないと思います。例えば知り合いの方は、年金だけでは生活できないから、仕方なく仕事を続けていらっしゃいました。
少子高齢化の世の中で、社会を維持するためには高齢者も働かなくてはならないという現実は受け入れざるを得ないにしても、それで怪我をしたり、病気になってしまったりしては割に合いません。医療費が増えて、結果的に我々が支払う税負担が増えてしまうからです。
また、外国の方であれば、不慣れな日本語でコミュニケーションを取りながらお仕事をするのも、怪我や病気をするリスクが高まると言えます。
普通はそれら怪我や病気などのリスクを減らすために、社員研修でハインリッヒの法則(ヒヤリハット)などを初めに学ぶのですが、高齢者や外国人の場合はほとんどがアルバイトなので、企業もそこまでお金はかけられません。仕事をしながら現場で覚えるしかないのです。
幸い私の場合は、先輩方にいろいろ教えていただいたので良かったのですが、どこもそうとは限らないようです。
4.人材を適材適所に配分する、公的な職業紹介システムが求められている
そのように考えていきますと、今の日本には人材不足問題を解決するために、適材適所で働くことのできる公的な職業紹介システムが求められていると思いました。
「それってハローワークの事じゃないか」と中には思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、私のイメージしているのは似て非なるサービスです。
経験・スキル・健康状態などの個人データベースと、全業界の企業データベースを照らし合わせて、適材および適所と思われる仕事のマッチングをします。
その過程で人材不足が起きている業界を優先的に洗い出し、そこで働く意思のある人たちに公的な優遇措置を取ります。
例えば、手間を省くために面接はその場で行ったり、社会貢献度の高さを評価して、一定期間働けばその人個人に助成金を支給したり、キャリアの一つとして認めるなど、国が責任を持って個人をバックアップするのです。
これだけIT・AIの技術が進化しているのですから、やろうと思えばできると思います。もちろん、当人の働く意思と職業選択の自由を十分尊重した上での話となります。
いろいろな人を見てきましたが、若い頃から体を動かし続けている人は、年を取っても元気な人が多い気がします。また、普段から本を読んだり、文章を書いたりしている人は、年を取っても語彙が豊富で、論理思考力の高い人が多いと感じました。
ですから、健康に不安のある人には肉体的負担の少ない仕事に就いてもらうようにし、年齢関係なく健康で元気な人には半日でもいいから体を動かす仕事に就いてもらって、社会全体の人材需給バランスを取るようにするのです。
本当に一億総活躍社会を目指すのであれば、個人のキャリアアップやお金儲けを志向するだけではもはや十分ではありません。心・技・体のバランスを取りつつ、同時に社会貢献度も考慮した上で働くことが、SDGs(持続可能な開発目標)を推進しているこれからの社会では大事になってくると思います。
このような適切に人材を紹介・配置するシステム、つまり職業改革を実現するためには、当然個人情報には十分配慮する必要があります。そのため、公的機関が責任をもって全体を管理しなくてはなりません。補助金などを出して、民間企業に委託するような案件ではないです。
そうやって理想的な人材データベースがうまく構築できれば、現状ただのスローガンになっている『一億総活躍社会』にも現実味が出てきて、人材不足問題にも解決の糸口が見えてくるでしょう。
補足:私の言っている『一億総活躍社会』とは、皆を強制的に働かせるという意味では決してありません。『働きアリの法則』という考え方が参考になると思いますので、後半でお話します。
先進国は軒並み高齢化社会に向かって突き進んでいます。日本が先陣を切って人材不足の問題を解決し、モデル国としての地位を国際的に築ければ、技術立国・観光立国とはまた違った道が見えてくるのかな?と思いました。
「人には各自に天職がある。これを知りてこれに就くは当人に取り、社会全体に取り、最も幸福なる事である。人生の成功とは実は他の事ではない。自分の天職を知って、これを実行する事である。(中略)そして大抵の場合においては天職は発見せられず、また実行せられずして、人は己が欲せずまた己に適せざる事を為しつつその一生を終わるのである。人生に悲惨事多しといえども才能の浪費または濫用のごときはない。」
内村鑑三『天職と一生』より
5.職業改革にはプロセスを踏む
ただし、これを実現させるためにはプロセスを踏む必要があります。
まずはどういう世の中にしたいのか、全国民を巻き込んでビジョンを作らなくてはなりません。明確なビジョンが無いと、利害関係者同士でぶつかり、大抵は玉虫色の政策になってしまうからです。
そのビジョンを基に、メディアを通して仕事環境を変革していくという社会的空気を醸成させていきます。そして、社会・業界・企業・個人レベルでそれぞれ粘り強く改革を行っていく事になります。最後にそれらを評価して、ビジョン・情報発信・改革内容にフィードバックしていきます。時間がかかってしまうのは仕方ありません。
5-1.人物の評価方法を見直す
一例として、社会レベル・業界レベルで行える改革としては、まず人物の評価方法を見直します。
各業界で専門性の高い人材が必要なのは間違いありませんが、資金が豊富な一部の業界・業種に優秀な人材が偏りがちです。そういう高度人材は通常、長い時間をかけて専門知識や技術を習得してきているため、中々他の業界・職業に移りづらい現状があります。
結果として、それが社会全体の人材流動性を低めている一因とも考えられますので、優秀な人材が一部の業界・業種に偏ってしまう前に対策を取る必要があります。
その対策の一つとして、専門技能以外でも人物を評価する事が大事です。他の全く異なる仕事に就く事で、例えば体力をつけたり、視野が拡がったりするのは悪い事ではありません。世の中や将来を見据えたポジティブな取り組みは、キャリアアップの一環として柔軟に評価すべきと思います。
そうやって業界間の垣根を下げて、人材の流動性を高めていきます。
5-2.仕事時間に柔軟性を持たせる
他の改革例としては、より広範な職業で仕事時間に柔軟性を持たせる事です。人は一日中仕事だけをして生きているわけではないからです。
昭和の時代でしたら、父親が働いて、母親が家を守るのが当たり前でした。加工貿易など、その当時の産業構造も鑑みますと、旦那さんが月曜から金曜まで日中ずっと働いていたのは合理性があったのかもしれません。
しかし、今は両親が共働きもしくは独身世帯が多くなっています。加えて、3Kの現場で仕事をしている多くの人たちは40代以上です。
そういう人たちにとって、小さな子供がいたり、高齢の親と一緒に住んでいたりすれば、当然家庭でやるべき事にも一定の時間を割く必要があります。平日の日中ずっと仕事をしていたら、誰が彼らの面倒を見るのでしょうか?いつ病院や銀行などに行けば良いのでしょうか?
補足:例えば、入院患者へのお見舞いを土日に許可していない病院もあります。どうしても行きたければ、その際は仕事を休むしかありません。
働き方改革の一環として、現状フレックスタイムという考え方もありますけれど、人材不足の問題を解決するためには不十分です。社会構造・産業構造が大きく変わっている以上、昭和時代の働き方が今でも当たり前のように続いているのは非合理的に見え、本当に不思議に思います。皆が改革の必要性を認識し、現実に基づいて進めていかなければなりません。
ここでは長期戦略レベルでのお話しか出来ないので、具体策については、各業界の個人および企業の実態に詳しい人たちが集まって考えてもらう事になります。
6.税金の使い方も見直す
それと、人物の評価方法を見直し、仕事時間に柔軟性を持たせる際は、同時に税金の使い方も考え直す必要があります。企業単位の努力でどうにかなる話ではなく、社会全体で取り組むべき問題だからです。
欧米がどうとか、他の国の状況を参考にはできません。日本が真っ先に少子高齢化問題に直面している以上、日本が率先して対策を考えて実践していきます。
例えば、助成金については、元請けの業者に一括で支払うのではなく、人材不足の業界やリスクのある職種で働いている人たちを洗い出して、彼らを直接助成する形にした方が良いでしょう。今はマイナンバーで皆、自分の銀行口座を国に登録しているはずですから、やろうと思えばできるはずです。
また、一般人で税のシステムをちゃんと理解している人ってどれだけいるのでしょうか?税金の支払いは国民の義務である以上、学校の義務教育の範囲で子供の頃からちゃんと教えた方が良い気がいたします。仮に内容が難しすぎるという事であれば、中学生が理解できるレベルにまで税のシステムを簡易化・効率化するという考え方もあると思います。
そうやって浮いた時間をスキル習得に振り向ければ、長期的には国際競争力向上にも寄与するはずです。今は生活するのに手一杯で、リスキリングに十分な時間をかけられるほど心身ともに余裕のある人は周囲にあまりいません。
7.社会全体で働く環境を変えていくために大事なこと
そして、以上のような社会的改革を推し進めていくためには、四つ心掛けておくべき事があると思いましたので、ここでまとめておきます。
7-1.待遇の公平化
一つ目は待遇を公平化することです。資本主義社会である以上、ある特定の人材に需要があれば、普通は給料もそれにつれて上がっていくものですが、現実はそうなっていません。
なぜ給料が中々上がらないのかについては、いくつか可能性は考えられますけれど、検証しているわけではないのでここでは深堀しません。一つの要因というよりは、複合的な要因でそうなっている気がします。
いずれにしましても、世の中何かがおかしくなっているのは間違いないのでしょう。それらおかしい部分を特定し、修正していく必要があります。
現状、人手不足な職場で働いている人たちへの給料が安すぎます。重労働で一定のリスクがあるにも関わらず、です。
厚生労働省が出している『地域別最低賃金の全国一覧表』を見ますと、東京などの首都圏を除き、ほとんどは時給1000円以下となっています。これではたとえフルタイムで働いたとしても、毎月の生活費を支払うだけで精一杯となり、貯金も貯まりませんし、スキルアップのための勉強時間も取れません。当然結婚は難しくなるでしょうし、若い人が3Kの仕事に中々来ないのは当然と言えます。
この問題を解消するためには、政治・経済・業界・企業とトップダウンだけで解決を図るのではなく、ボトムアップで現場の声を直接吸い上げながら、国・社会レベルで現実的対策を考えていく方が効果的です。
現場で働く人たちの生活に少しでも余裕を持たせ、人生設計をしやすくして労働意欲を高め、スキルアップ・キャリアアップしやすい職場環境作りを目指していきます。
7-2.第三者機関による安全性のチェック
次に二つ目は、現場仕事が安全かどうかのチェックとその認定を、第三者の機関に行ってもらうシステムを構築する事です。
例えば、食品関係では消費者に安全な食べ物を提供できるよう、衛生管理の方法として『HACCP(ハサップ)』という国際的に準拠すべきルールがあります。具体的には、食品の事業者が危害要因と思われる部分を分析したり、危害を防ぐために管理すべき重要ポイントを定めたりします。
HACCPの認証には、各種団体が国内に存在しているのですが、沢山ありすぎて一般人には分かりづらい構造となっています。また、これはどちらかと言うと、消費者の安全を守るために導入するもので、必ずしも労働者の安全を守るためのものではありません。
ですから、政治・業界レベルで最優先に取り組むべきは、現場仕事のリスクを減らし、作業者の安全を担保するために、それを審査・認証する機関をHACCPと同じように作るのです。ただし、こちらは分かりやすい団体となるよう、労働安全のルール作り・審査・認証については国が一元管理すべきと思います。
そして、労働者の安全が担保されていると認められた企業には、商品に認証マークを付けてもらい、消費者の購入を促すのです。そうやって社会的貢献度の高い企業を気軽に応援していける下地作りをします。
今までは、似たような商品が選択肢としていくつかあった場合、どういう会社で製造されたかまでは分かりませんでした。そのため、多くの消費者は値段の安さでしか購入の判断をしてこなかったと思います。
しかし、値段が極端に安い商品は、現場労働者にしわ寄せがいっている可能性だって考えられます。
認証マークを付ける事で、労働者の安全をちゃんと考えている企業だと世間に認知されれば、多少値段が高くてもその商品を買う人は多くなるのではないでしょうか?
世の中を少しでも良くしていくためには、このような草の根の取り組みが大事と思います。
7-3.『和』の精神の復興
三つめは、日本人の『和』の精神の復興です。抽象的で分かりづらいので一例を挙げますと、日本(大和)の歴史・文化を学校教育で学び、その精神を復興・継承していく事でしょうか。
上の二つ「待遇の公平化」と「第三者機関による安全性のチェック」は、国・社会レベルでの対応策となりますが、この「『和』の精神の復興」と次の段落で論ずる「平等・忍耐・寛容の心で人と接する」は、基本的に社会および個人レベルのお話です。
私は『和』が何なのか、そして日本の教育について詳しいわけではありません。ただ、自分自身の経験から感じているものはあるので、それをお話します。
あくまで一般論となりますが、私のように1980年代生まれまでの世代は、『勤勉であることを良しとし、周りとの同調・協調を重んじる教育』を学校で受けていたのではないでしょうか?
そして、1990年代生まれの人は、おそらくその過度な勤勉さの反動でしょうが、『ゆとり教育』がもてはやされました。
最近の2000年代以降に生まれた世代になると、『個人の自由・多様性を尊重した教育』を受けているものと思います。
こうして時系列でみていきますと、学校教育で重視しているものが、集団・組織から個人へと移り替わっているのが分かります。
それぞれの教育方針には一理あり、どれも間違っているとは思わないのですが、一つだけ共通しておかしいと感じる点があります。
それは、「今の時代はこうだから」や「今は昔と違うから」みたいに、過去の教えや常識を否定した上で、新しい考え方や価値観を形作る風潮がある事です。この流れは昔から変わっていません。
現代は多くの人が自分の考えや思いをSNSなどで主張するようになりました。それ自体は素晴らしい事だと思いますけれど、最近その流れが行き過ぎている感じがしないでもありません。
個人の考え・価値観を前面に押し出し、共同体としての全体の和を疎かにしてしまえば、特異な人ばかりが注目・評価され、集団としての力を発揮できなくなってしまいます。また、孤独感も人々の間で蔓延します。
日本には古い歴史があり、何百年・何千年と続いている教えや考え方にはそれなりの理由があったはずです。古いものとして安易に捨ててしまって良いわけがありません。
大和(大いなる和)の歴史を尊重しつつ、その上に自己のアイデンティティを構築できれば、世の流行り廃りに振り回されずに、道を誤らずに成長していけるでしょうし、社会全体も復興・発展していきやすいのではないでしょうか?
自分にとってだけでなく世の中にとって、何が大事で何がそうでないのか、判断する基準を持ち、今の時代が正しいとしている考え方と、過去の考え方をクリティカルに判断していく事が大事に思います。
7-4.平等・忍耐・寛容の心で人と接する
最後は、どんな立場・状態の人に対しても平等・忍耐・寛容の心で接する事の重要性についてお話したいと思います。
前段落の「『和』の精神の復興」と内容的には似ていますが、前者はどちらかと言うと社会全体の方向性、そしてこちらは個人の心構えを説いています。
つまり、たとえ生産性の低い人が仕事現場にいたとしても、それをわざとやっているのでなければ、安易に否定したり、無下に扱ったりしてはいけないという事です。(もちろん、働かない事を100%肯定するという意味ではありません)
人には言えない悩み・事情があったりします。悩みがあってもお金が無いと生きていけない以上、どんな人も何らかの仕事に就かなくてはなりません。
ですから実害が少ないのであれば、あまり目くじらを立てて厳しく当たるのではなく、ある程度は寛容の心で、能力に余裕のある人がそうでない人の一部の仕事を補助するなどで対応する事です。それが、長い目で見ると企業の業績が上がったりする場合も多いと思います。
生産性が低いからと、一生懸命やっている人たちを職場から追い出してしまえば、短期的には業績が向上するかもしれませんが、おそらく持続性はありません。
この考え方は、『働きアリの法則』を参考にしています。働きアリの法則とは、集団において、よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、働かないアリが2割に分かれる性質があるという理論の事です。
働かないアリがいる、一見非効率なシステムがコロニーの存続には必要と言われています。
私個人の経験に照らしてみても、この法則はリアリティがあるような気がします。想定外の事態が起きた時に、普段あまりパッとしない人が組織の救世主・緩衝材(癒しなど)の役割で活躍する事も現実にはあるからです。
このような『働きアリの法則』に則って今の人間社会を見てみますと、例えばおっとりしていて、本来あくせく働かない方が良い人まで無理に働かせようとしています。そうやって何十年も続けてきたため、多くの人が心身共に疲弊してしまい、それが間接的に少子高齢化問題・人材不足問題として、現在表面化しているものと考えます。日本社会の維持が困難になりつつあるのは、自然から見れば当然の帰結かもしれません。
普通は誰だって楽しく仕事をしたいものです。人間関係がギスギスした、常に緊張感のある職場で働き続けたいと思う人はそういません。そういう職場では、新しい人が入っても定着はしづらいですし、経営者や現場責任者の立場からすれば避けたい事態と言えます。
また、逆に厳しく当たられた方も、いちいち『モラハラ』や『パワハラ』などと、過度に反応して騒ぐのは好ましくありません。そういう時は不快ではあっても、自分の心を鍛えるチャンスとポジティブに捉えた方が本人のためになる事も多いと思います。相手の態度を変えようと同じ土俵に立つのはトラブルの基です。
ここでのポイントは、生産性の低い人がいるからとむやみに厳しく当たるのではなく、ある程度は暖かく見守る事も組織・社会を維持する上では大事なのでは?という事でした。
そうやって懐の深い職場環境を作る事ができれば、多種多様な人材が定着しやすくなると思います。
8.まとめ
今回は以上となります。人材不足という問題について、今すぐにでも取り組まないとまずいと思いましたので論じてみました。
すでに問題が表面化しているにも関わらず、まだ社会全体で解決しようという雰囲気が出来ていないのが気になります。置かれている立場・状況により、温度差があるからでしょう。
先日、一緒に働いている同僚の方に人材不足やアルバイトの待遇について聞いてみたのですが、「どうにもならないんじゃないか」と半分諦めの境地でした。
いつもそうですが、大半の人々が問題を認識してからでないと政治が動かないというのは、手遅れになりがちという意味で、民主主義の大きな弱点と言えるかもしれません。
いくら政治家が給料を上げろと言ったところで、大企業ならいざ知らず、その道筋を作ってあげなければ、現場の作業員にまでは中々それが反映されないのが現実です。
そこで、人手不足問題を解決するための私からの提案は、適材適所の公的職業紹介システムを早急に構築するという事でした。
そのような職業改革を実行していくためには、現場視点で人物の評価方法を見直し、かつ仕事時間に柔軟性を持たせるなどのプロセスを踏む必要があります。そして改革には当然お金がかかりますので、税金の使い方も見直さなければなりません。
また、人材不足解消に向けて、社会全体で働く環境を変えていくためには、私は「待遇の公平化」、「第三者機関による安全性のチェック」、「『和』の精神の復興」、そして「平等・忍耐・寛容の心で人と接する」事が大事と考えました。
賃金が安いからと外国人労働者を呼び込むのは、一部企業にとっては短期的にメリットになるとしても、その賃金が上がらない事で若い日本人が集まらないという大きなデメリットも生じます。本質的問題を先延ばしにしているだけに過ぎません。
現在、政府が率先して投資を勧めたり、お金の教育を進めたりしていますが、そもそも先立つものが無ければ、いくら投資の知識を学んでも仕方がないでしょう。それと、官民一体で現在推進している観光立国としての道も、不安定な東アジア情勢を考えますと非常にリスクが高いと言えます。
非常時の事を考えず、貧富の格差が拡がるような政策ばかりを行っているように見えます。
現場で仕事をしている人たちの生の声を聞き、早急に議論を進められる体制になってほしいです。
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最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
戦略コンサルタント
味水 隆廣
9.参考リンク
以下は本記事を作成する際に参考としたニュースの一覧です。
人材不足関連ニュース:
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