『なぜ大手企業で働く社員の給料は高いのか?』についてのコラム掲載とその小話
皆さま、こんにちは
第11回目のコラム『なぜ大手企業で働く社員の給料は高いのか?(市場分析の番外編)』をマイベストプロ様で掲載しましたので、お知らせします。
以下のツリー構造ですと、紫色でハイライトされた部分の番外編となります。
掲載コラムに関する小話
最初に、当初の計画では本コラムを書く予定はありませんでした。本文中でも触れましたように、昔大手企業で働いている方の収入のお話をお聞きし、その額に驚いたのを市場分析の途中で思い出したので、戦略的に深堀してみることにいたしました。
さらにその考察の過程で、たまたま市場分析でのデータが今回の仮説検証に一部使えそうだと分かり、想定よりも内容の濃いコラムとなりました。結果として、一般向けのコンテンツではなくなったかもしれません。
1.商品の値上げラッシュは当面覚悟する必要がある
収入の多寡は生活の質に直結しますので、多くの人にとっての関心事となります。近年、日本での給料や物価が欧米よりも低いというニュースをよく目にしますが、実は外国でのインフレは去年からすでに始まっていました。
日本もウクライナの件や最近の円安の影響で、今年に入ってからは値上げラッシュが続いています。私は毎週一回、食料の買い出しに行くのですが、様々な部分で値上げを実感しています。例えば、商品の内容量が減ったり、内容物が変わったり、小分けにされたり、包装容器が薄くなったりと、業者の方も消費者に値上げを感じさせないよう、様々な工夫をされているのが分かります。そのためか、親は気付かずに購入している事も多いです。この流れは当面続きそうなので、収支を調整しつつ、しばらくは覚悟する必要があると感じます。
2.一途でまじめに仕事をしている人が稼げない
しかしながら、中には覚悟だけでは済まない人もすでに出てきています。私が知っている事業者の方も、コスト高で大変らしく、先代から引き継いで数十年続けてきた事業の廃業を考えていらっしゃるそうです。本当にお客様の事を考えたサービスを提供しており、値段もお手頃で、よくここまでといつも思っておりました。それが今回のコスト高でついに限界に来ているようです。
子供の頃からその方の一生懸命なお仕事ぶりは知っているので、何と言いますか、一途でまじめな人がなぜか稼げない、理不尽な世の中だと感じてしまいます。
3.ピラミッド型ビジネスは人気ですが、強い光と影が伴います
テレビを見ていますと、目新しく人の興味を引くようなものが次々と紹介されています。そうやって新しい事にチャレンジし、稼いでいる人たちを見てしまうと、生活に密着した、地味で変化の少ないお仕事はどうしても色褪せて見え、敬遠されるようになります。
以前、将来就きたい職業に関する子供へのアンケートで、ユーチューバーが一番になったというニュースを見ましたが、それはある意味仕方がないのかなと思います。華やかで楽しそうに動画を配信している姿を見れば、特に若い人にとっては魅力的に映るでしょう。
しかし、強い光には深い影が伴うという現実も知らなくてはなりません。華やかなのはごく一部で、実際の仕事は企画・スクリプト作成や動画編集作業など、意外と地味だったりします。さらに、かけた分の時間と労力が報われるのであればまだマシですが、ほとんどの人は視聴数を稼げておらず、目に見えない部分で様々な苦労をされている方が多いと思います。ですので、これは成功者とそれ以外を明確に分ける、典型的なピラミッド型のビジネスと言えます。
4.コンサルティングやコーチングビジネスもピラミッド型です
同様に、情報が商材のコンサルティングやコーチングビジネスも、ピラミッド型の事業と考えて良いでしょう。その理由は、お客様の視点から考えてみると分かりやすいと思います。
例えば、もし潜在のお客様が悩みを抱えており、その解決のためにプロにご相談するとしたら、どのようなコンサルタントやコーチを望まれるでしょうか?おそらく第一候補としては、金額を考慮しなければ、その分野の第一人者の方にご相談したいと思われるのではないでしょうか?そしてそれが難しければ、第二候補として、専門分野に十分精通しておりかつ実績のある身近なプロに、ご相談に行かれるのではないでしょうか?
ここでのポイントは、ピラミッド型のビジネスですと、実力が平均以下と(顧客から)思われてしまっている無名の専門家には、誰も興味を示さないという事です。つまり、半数の専門家は必然的にピラミッドの底辺、低収入な層に位置づけられることになります。
私の経験上、過去に大きな名声や実績があるからと言って、必ずしもその名に恥じない実力を今も継続して備えているとは限らないのですが、現実にはリスクを極力取らずにリターンを得たい方が多いので、そういう有名な方へお仕事の依頼が集まりやすいのでしょう。
一つ言えることは、ビジネスや投資は民主主義で勝敗が決まるわけでは無いため、多くの人が有望と考える投資先が本当にそうなのかは、誰にも分からないという事です。逆に、世間の興味を引いていないからこそ、ビジネスチャンスという事もありえます。例えば、グーグルがその典型ですね。詳細なストーリーは忘れましたが、当時の検索最大手には見向きもされなかったからこそ、自社のシステムを身売りしなくて済み、結果として現在大成功を収められています。
5.ひし形タイプのビジネスこそ、社会の安定・維持には重要となります
そして、私も含めこれらピラミッド型のビジネスを生業としているプロのもう一つの特徴は、(もちろん例外はあるでしょうが)間接的に社会へ貢献しているという事です。
誤解を恐れずに言いますと、例えば突然この世から経営コンサルタントや戦略コーチが半分いなくなったとしても、社会の安定・維持という観点から見ますと、おそらくすぐに困るような事態にはならないと思います。したがいまして、この点においてエッセンシャルワーカーの方々(注1)とは立場を異にしています。
注1:
エッセンシャルワーカーとは、日常生活において必要不可欠な仕事(ex. 医療・食料・流通・ライフラインなど)を担っている労働者の事を指します。ただしここでは、その方々に加えまして、日常生活にはあった方が良い(つまり無いと困る)サービスを提供する、準エッセンシャルワーカーの方々も含めます。
エッセンシャルワークには、一定レベル以上の技能者を数多く必要とするので、ひし形タイプのビジネスと考えらえます。比較的安定した収入を得られる(注2)中間層が最も多く、社会の安定・維持という意味でも、本来世の主流となるべきお仕事です。
注2:
全ての業種で安定した収入を得られるわけではなく、特に準エッセンシャルワーカーや個人で事業をされている方は、収入面で不安定なケースも多いと思います。
いくら華やかな仕事であっても、そしていくら社会に影響を与えていると言っても、いざという時に必要とされ、優先されるのは、インフラを維持しているエッセンシャルワーカーの方々となります。私の経営コンサルティングやビジネスコーチのお仕事も、社会が安定し、平和だからこそ成り立ちます。この点を自覚しておくことは重要です。
6.非常時にはエッセンシャルなお仕事を副業にしたい
ですので、平時にはコンサルタントやコーチなど、自分の天性を活かせるお仕事を本業とし、災害や戦争などの非常時が起きた際には、臨時の副業として、需要が急激に増える(と思われる)エッセンシャルなお仕事をやりたいと個人的には考えています。ただ、やっていきなり出来るものではないですし、参加できるものでもないので、非常時に人材の需給バランスが崩れた場合を想定し、国の方であらかじめ社会の制度改革、国民の意識改革、そして現場訓練の調整を進めていただく事が非常に重要となります。
ここでのポイントは、ボランティアではなく臨時の副業という事です。
なぜかと言いますと、ボランティアでは生活に余裕が無いと参加できませんし、特に日本ですと「無料のお手伝いさん」という感じで仕事に対する責任も無かったりするので、必ずしも現場で必要とされているとは思えないからです。
ちなみに、私も20代の頃はオーストラリアで日本人向けのコミュニティサービスとして、ラジオ局でアナウンサーや技術者のボランティアをやっていた事があります。日本人グループの代表として責任もやりがいもありましたので、大学で勉強しながら数年間頑張って務めました。ただ、若い学生の頃ならいざ知らず、どんな崇高な理念でも無償労働では個人の生活を維持できません。
これが副業という事であれば少しでも稼げますので、有事で突然本業の仕事が無くなっても、最低限の生活レベルは維持する事ができますし、税金も何とか支払えます。とにかく、どんな状況でも衣食住に困らない程度には生きていける、という安心感を持てるような社会基盤を整える事が大事です。
そのためには、仕事(労働)にはちゃんと対価を支払うようにした方が、雇われる方にとっても管理する方にとっても公平で、かつ一定の責任が生じますので良いかと思います。
まとめ
今回の小話はここまでとします。
無くなってしまうと困る(または不便になる)お仕事をされている方々がいます。その中には、本文最初の方でご紹介した知り合いの方もそうですが、現在大変な経済状況にある人もいます。
よく『お金は天下の回りもの』と言いますが、私はそう感じていません。本来回ってくるべき人、本当に必要としている人に正しく回っていないように見えるからです。
そして、太陽が昇って下るように、毎日同じ仕事を繰り返せる方を私は尊敬します。常に変化を必要とする自分には、到底真似できないからです。独自性・独創性を追い求める人間も必要ですが、世の中そんな人ばかりになってしまったら、価値観が多様化しすぎて社会は混乱してしまいます。もしかしたら、現代社会はすでにそうなりつつあるのかもしれません。
ですから、独自の個性を追い求めている方は、いかに他者と協調するかも並行して模索する必要があります。逆に、他人との協調性を重視する方は、個性ある人を集団・組織から排除するのではなく、同じ人間として理解・敬意を示す寛容性を培う必要があります。
元々私が立ち上げた漸コンサルティングとは、誠実にご自身の道を歩まれている不器用な方を、同じく不器用な私が専門知識を駆使して支援していくサービスです。少なくとも、金儲けさえ出来ればよいという人は、そもそも私のような人間を初めから必要とはされないでしょう。
昔見た『スタートレック』という映画の中で、主役のピカード艦長が「24世紀の世界ではお金ではなく、人類の成長(発展)のために働く」という内容のことをお話されていました。私もその考え方に完全に同意します。争いを無くし、生き甲斐のある仕事をして、安定した生活を営むためには、人類皆が共有できる壮大なビジョンが必要となります。答えはシンプルだと思いますが、それ故に実現もまた困難なのでしょう。
自分の生まれ持った資質と今まで培ってきた能力を最大限発揮する事で、どこか歪みのあるこの社会を、少しでも良い方向に導けないかと常に模索しています。そのための漸コンサルティングでもあります。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。