『経営戦略コンサルタントを必要とするお客様』についてのコラム掲載とその小話
皆さま、こんにちは
第6回目のコラム『経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?顧客ニーズを考察』をマイベストプロ様で掲載しましたので、お知らせします。以下のツリー構造ですと、濃い緑でハイライトされた部分となります。
掲載コラムに関する小話
今回は、今まで執筆したコラムの中で、最多の文字数となりました。長いので話も脱線しやすく、中々難しかったです。読みやすい長文を書けるかどうかも、経営戦略の能力を測る上で一つの指標になると思いました。
コラム記事では冗長になるため載せなかった内容を、ここでは書いていきます。
1.中小企業・個人事業主が必要とする財務スキルとは?金融投資の知識は必要?
まず、コラムの見出し『1.顧客ニーズと市場需要の関係とは?』の最後の方で、「当方の財務サービスは分析に特化しており、株式や為替などの金融投資に関するサポートは行っていません」と書きました。
ここで、中小企業で働いている方や個人事業主にとって役立つと思われる、一般的な財務スキルと、金融投資に関する私の考えについてご紹介しておきたいと思います。
1-1.大手企業が必要としている財務・金融アナリストとは?
最初に、参考までに大手企業が必要としている財務・金融アナリスト(Financial Analysts)についてご紹介したいと思います。なぜかと言いますと、そもそも財務・金融の専門家は、大企業が求めるスキルニーズに合わせて養成されるからです。学ぶ内容は広範に及ぶため、専門の教育機関では、即戦力として働けるよう徹底した研修教育を行っています。
例えば、大手企業で何らかの新規事業(スタートアップ)プロジェクトを立ち上げる際、プロジェクト全体を管理するマネージャーの下に、財務分析を担当するアナリストが配属される事もあります。その理由として、予測モデルを作成する事で、事業全体を数値で分析・検証しやすくするためです。論理思考力と直感力を駆使しながら、エクセル上でいくつかのシナリオについて試算を繰り返します。そしてそこから、ビジネスに役立つと思われる洞察を導き出します。このお仕事では、特別高度な知識は必要としませんが、様々な状況に対応できるよう、基本に基づく応用力(創造性や柔軟性など)が求められます。つまり、汎用性の高いお仕事と言え、やり方次第では、他のお仕事と兼務する事も可能です。
また、大企業ともなりますと、事業の設備投資以外に、企業価値の評価方法など、金融投資(株式や為替など)に関する知識も必要になってきます。その上、昨今ですと少子化による後継者問題も表面化しておりますので、事業承継サービスの顧客ニーズが増えています。したがいまして、M&A関連の市場も活況を呈しており(つまり市場需要がある)、優秀な金融アナリストは各方面で引っ張りだこになっているはずです。こちらでは、高度な専門的知識が必要となり、他のお仕事を兼務しながら片手間で出来るようなものではありませんので、非常に専門性の高いお仕事となります。
通常、大手企業で財務アナリスト(Financial Analysts)と言いますと、上記両方の基本的知識・スキルを持っている人の事を言います。しかし私のサービスでは、中小企業で働く人および個人事業主を想定しているので、重視しているのは前者の、主に事業改善や成長を目的とした、他のお仕事と兼務可能な財務分析スキルとなります。
1-2.中小企業・個人事業主にとって役立つ財務知識とは?
実際、中小企業での財務分析のお仕事は、経営者またはプロジェクトマネージャーなどの責任者が兼務しているケースがほとんどだと思います。少なくとも私はそうで、企画・マーケティング・財務など、プロジェクトを進める上で必須の仕事は、当時一通り行っていました。
その際、全部を完璧にこなす事は出来なかったので、中には中途半端になってしまったお仕事もありました。その経験があったからこそ、自らが身につけるべきスキルと、そうでないものの判別ができるようになったのかもしれません。何をどのように学ぶかについては、その人個人の資質や周りの状況によっても変化します。正しい勉強方法はこれだと一概に言う事はできません。ただ、もし私がアドバイスをするとすれば、相手の性格や状況をよく理解した上で行うと思います。
競争優位性の観点からも考えてみますと、一般的に大手企業と中小企業の間では競争力という点で大きな開きが見られます。そうなる要因は様々あるでしょうが、私は中小企業の財務分析スキルが貧弱なのも、原因の一つではないかと考えています。なぜかと言いますと、財務予測モデルを構築してシミュレーションする以前に、そもそも社内に財務の問題点を指摘する人がいなかったりするからです。本業のお仕事が忙しすぎて、社長や経理の方しか業績を把握していない場合や、税理士や会計士の方に任せっきりにしていますと、その傾向が顕著になるように見えます。
しかし、だからと言ってここでは税理士や会計士の勉強を勧めているわけではありません。役割や仕事内容が全く異なるからです。
ビジネスの基本として、主に中小企業で働く人や個人事業主にとって、常に意識すべき重要な数字は、売上と費用(変動費+固定費)、そしてそれらから生み出される営業利益となります。もちろん、事業を持続可能なものとするため、貸借対照表やキャッシュフローのチェックも大事です。
この中で、特別に重要な数字が売上となります。その売上をどのように増やすかが、事業責任者にとって最大の関心事ですし、社員にとっても、自分たちの給料を上げたければ、売上を増やして利益を上げていくしかありません。非常に単純な話ですが、弱肉強食の世界で生き抜く上で、一番注力すべき重要な数字です。
一方、税理士のお仕事は、支払う税金額を正しく算出するため、事業で使用された費用や利益を中心に見ていきます。私は税についてそこまで詳しくはありませんが、精確性を求められるお仕事ですし、財務アナリストとはまた違った難しさがあると感じます。ちなみに、プロの財務アナリストとなるための教育カリキュラムでは、税の仕組みまでは普通教えません。
簡単にまとめますと、損益計算書ベースでは、経営者・個人事業主・会社員の方は売上、そして税理士の方は費用と利益を重点的に見ていきます。通常、財務アナリストの場合はその両方を見ますが、私はさらに経営戦略コンサルタントとして、新商品開発や新規事業を想定しているため、まずはいかに売上を増やしていくかに注力します。費用に関しては、仮に事業開始直後であれば、あまりコスト削減などは意識しないようにします。例えるなら、飛行機がこれから飛び立とうとしている時に、パイロットが燃費を気にしているようなものです。安全に離陸したと分かってから、燃費効率を考え始めれば良いと思います。
このように、専門家にご相談される前に、それぞれの特徴的な違いを知っておくと、話もスムーズに進むかと思います。
中小企業で働く人や個人事業主が自ら財務分析を行う際は、人手や時間も限られますので、お手元にある財務情報をいかにシンプルに、かつ優先順位を付けて分析していくかが重要となります。専属の担当者を置ける、大企業と同じような事業分析を行おうと考えてはいけません。時間がかかるわりには、肝心のリターンは少ないです。また、雇われた財務アナリストの方にとっても、学んだ半分以上の知識は実際に活用されないので、本来の能力を発揮できずにストレスとなります。人は皆平等に一日24時間しかありませんので、時間を効率的かつ効果的に使えるよう、適材適所そして仕事環境を整えてあげる事が大事だと思います。
ただし、効率性を重視するために、直感に頼り過ぎた事業運営となってしまっては元の木阿弥です。後で検証が出来ないので、間違っていたと気づいた時には、手遅れとなっている事もあります。
必要な財務分析のスキルを習得するため、何から学べば良いか迷われた際は、当方で販売している財務予測モデルが参考となります。全体を俯瞰できるので、何を学べば良いかが分かるだけでなく、事例に基づいて紹介しているので、どこまでスキルを学べばよいかのゴール(分析結果からの洞察の導き方など)も把握できます。手前味噌となりますが、ここまでノウハウを見せている実践的な学習支援サービスは、他で見たことがありません。それと、スキル習得のハードルを上げてしまうような、金融投資などの専門的知識については、ここでは最小限の取り扱いとしています。
実務で必要となる財務スキルを、経営者・個人事業主・会社員の方が身に付けられますと、ライバル企業とも優位に競争する事が可能になりますし、個人のキャリアアップにも繋がります。多くの人にとって、学ぶに値するスキルと思います。
1-3.金融投資に対する私の考え方
前段でも少し言及しましたが、『株式や為替などの金融投資は、金銭的・時間的に余力のある企業・個人が行った方が良い、またはプロに任せた方が良い』、というのが私の基本スタンスです。(世の流れに反する考え方ですけれど)
繰り返しになりますが、人は皆一日24時間しかありません。多くの社会人や学生にとって、勉強のために使える時間は、一日あたりせいぜい2~3時間くらいのはずです。国民全員の金融リテラシーを向上させるために貴重な時間を使うよりは、個々人の仕事・ビジネスのために個性ある能力を伸ばしていく事の方が、大局的に見て国際競争力を高め、日本国にとっても個人の幸福にとってもプラスになると信じています。そのための学び直しに、時間やお金は使われるべきと考えます。
2.事業のスタートアップにおいて、顧客ターゲットは設定すべきか?
これは、見出し『2.経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?』の初めの方で、「経営戦略コンサルティング事業ではお客様を絞り込むのが難しいので、私は顧客ターゲットを設定しておらず、経営者・個人事業主から会社員などのビジネスパーソンまで、幅広く潜在のお客様を想定しています」という旨の内容を書きました。
この件で補足しておきたいと思います。
新規事業において、顧客ターゲットを設定するかどうかは、事業者本人および置かれている状況によります。
ビジネスの基本理論から言えば、想定するお客様(見込み客)を絞り込むべきですが、全く見当違いな初期仮説を立てて行動を起こすのもリスクが高いので、私は自分自身をSWOT分析(ビジネス分析に使用されるフレームワークの一つ:強み・弱み・機会・脅威の略)した上で、これ以上のお客様絞り込みは不要と判断しました。
もし事業の独立前と後で、顧客層が重複しているのであれば、お客様の傾向もある程度事前に分かると思いますので、ターゲットを設定した方が良いと思います。しかし私の場合は、関わってきた業界や顧客層も独立前と後では全く異なりますので、最初からイメージが出来ず、初期仮説が立てられなかったのです。
そのような経緯もあり、新しく事業を始める上で、まずはPDCAサイクルが加速度的に回転し始めるよう、パワー(トルク)重視の計画を採用しました。具体的には、適当な初期仮説を立てられるよう、幅広い情報発信とデータ蓄積を最優先として行動していくという事です。一旦サイクルが軌道に乗れば、後はパワー重視からスピード優先の計画に少しずつフェーズを移行していくつもりです。既存データおよび資金の少ない私の立ち位置では、これがベターで着実な事業成長のステップと判断しました。
3.なぜ大手コンサルティングファームの手法を真似しようと思わなくなったのか?
次に、見出し『2-1.クライアントが大手企業の場合』の最後の方に、「大手戦略コンサルティングファームの手法を、(実行できないので)自分はあまり真似しようとは思わないです」と書きましたが、なぜそのような考え方になったかと言えば、少し個人的な経緯があります。
以前、戦略コンサルタントを養成するFIRMSconsulting様のオンライン研修サービスを受講していた時、コンサルティング事例をいくつか見たことがありました。しかしそこで見たものは、全て大企業を顧客対象としており、内容が専門的でかつチームプロジェクトを前提としているため、中小企業がメインの私には正直あまり参考とはなりませんでした。
以上の経験から、いくら有名なコンサルティングファームでも、あらゆる課題解決に使える万能な手法を知っているわけではないと気づきましたので、それまで抱いていた価値観も現実的なものに変わりました。その後自分がどうしたかについて、もう少しだけ書きます。
会社員時代の私のコンサルティングスタイルは、ほぼ我流をベースにしており、潜在のお客様にサービスの付加価値を伝えることが難しい、という大きな問題点を当初から抱えていました。
一度独立しますと、営業やマーケティングも自分で行わないといけなくなります。コンサルティングの手法だけ知っていれば良いわけではありません。仮に無名のコンサルタントがいきなりサービスの独自性を打ち出しても、誰も興味を示す事はないため、ある程度は『長い物に巻かれる』必要があります。
そこで、当サービスを可視化(見える化)できるよう、元マッキンゼーのパートナー(FIRMSconsultingの現パートナー)が教えているコンサルティング手法の基本部分のみを、自分の従来の手法に組み込む事にしました。
そうこうしている内に、後日共著者として『NINE LEADERS IN ACTION』を出版することが決まりましたので、そこで、自分の手法(財務予測モデルを経営戦略に組み込んだ、包括的分析アプローチ)を初めてお披露目する流れとなりました。
私は自らを『課題解決の手法を創り出す戦略クリエイター』と位置づけています。数学で例えますと、誰かが作った公式をそのまま使うよりも、必要に応じて自分で公式を修正または新たに創り出し、それを使いこなしたいと考えるタイプの人間です。現実を見据えて、人様のアイデアを参考にしながらも、可能な限り自分のオリジナリティを大事にしたいと考えています。
4.ビジネスコーチと経営戦略コンサルタントの類似点
最後に、見出し『2-3-1.経営戦略コンサルタントを必要とする個人事業主のお客様とは?』の後半で、「ビジネスコーチングと経営戦略コンサルティングは名称が異なっても、それぞれ必要とするスキルは似ている」というお話をしましたので、ここで、私の職業に対する考え方および位置づけについてもお話しておきたいと思います。
マイベストプロ様のサイトでは、コンサルティング・コーチング・カウンセリングの職業は、それぞれ別カテゴリーとなっています。しかし、私の中ではコラム『経営戦略コンサルタントがプロとして果たすべき役割とは?』でも書いたように、これら三つはスキルおよびお客様の観点から、共通点の多い同種の職業と考えています。なぜならば、いずれもお客様の問題(または課題)を解決するのがお仕事だからです。
したがいまして、私の肩書はマイベストプロ様のサイトでは、『経営コンサルタント』となっていますが、同時に『ビジネスコーチ』でもあります。現に、サイトではビジネスコーチとしてもカテゴリー登録されています。
漸コンサルティングで販売している財務予測モデル製品は、(一応独学でも学べますが)本来ビジネスコーチングの教材として開発いたしました。例えば、メールサポート付きでご購入いただきますと、教材の中で分からない箇所があれば、答えやその理由を丁寧にご説明いたします。さらに、文章でお答えするのが難しい時は、代わりに図示してお答えいたします。
どのようなケースでこの財務予測モデルが役立つかと言いますと、例えば新商品(または新規事業)の企画立案や補助事業申請などで、事業計画を策定する時です。この時に財務分析に基づく経営戦略を立てていると、プレゼン時の相手に与える印象(インパクト)も大きく変わってきます。実際、私は過去そうやって多くのプロジェクトに携わってきました。その経験を基に、有用なスキル習得のツールとして、幅広いビジネスパーソンの方にこの製品をお勧めいたします。
まとめ
今回の小話(大話?)はここまでとしたいと思います。本ブログ記事もコラムも、両方とも文章がかなり長くなってしまいました。書きたいことが次から次へと浮かんできたからです。時に深く考察し過ぎるのが私の悪い癖で、考えが飛びがちになり、話に収拾を付けるのが大変でした。
結果、少しでも読みやすくなるよう、文章を何度か手直ししたのですが、うまく成功しているのでしょうか?
次回のコラムでは、今までの内容から初期仮説を構築し、検証のため市場規模を試算してみます。
以上、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。