【集中講座1】財務知識の基本-コーポレートファイナンス(企業金融)とは?

皆さま、こんにちは

今回から、集中講座として何回かに分けて、財務・金融知識の基本をご紹介していきます。

ここでは、財務・金融アナリストとして重要と思われる知識を、広範にカバーしています。主にコーポレートファイナンス(企業金融)についてです。

アイキャッチ画像:資本構造(バランスシート)

その理由は、新年初めに下記リンクの記事内にある動画でお知らせした通り、当方の英語で作成されている財務予測モデルを、順次日本語化していくためです。この度良い機会と思い、財務の基礎知識を日本語で学び直すことにいたしました。せっかくなので、それら学んだ知識を皆様にも共有していければと思います。

記事タイトル:『YouTube動画の配信を再開いたしました

全て学ぼうとすると非常に膨大となるため、次回以降は、経営者の方や一般のビジネスパーソン(主にオフィスワーカー)の方、そして戦略コンサルタントにとって必要と思われる知識に絞ってご紹介していきたいと思います。

動画で見たい方は、下記よりご覧ください。

注:
画質が悪い場合は、画面右下の歯車をクリックして、画質の項目を1080pに設定しますと綺麗になります。

また文章で読みたい方のために、以下に内容を書き出します。

それでは始めます。

1.コーポレートファイナンス(企業金融)とは?

コーポレートファイナンスとは、企業金融とも言います。そもそも、それは何かと言いますと、企業の資本構造を取り扱います。資本構造というのは、簡単に言えば資産・負債・純資産の事を指します。財務の知識を使って資金調達をしたり会社の価値を増やしたりする事で、この資本構成をバランスよく管理していきます。

資産構造(資産・負債・純資産)
資産構造-資産・負債・純資産

他に、経営リソースの優先順位を付け、それらリソースを適切に事業で配分していくお仕事も含みます。

この時に特に重要となるのが、財務分析となります。ちなみに、私が財務戦略サービスの一つとして売りにしているのが、この財務分析です。

経営資源の優先付けやリソースの配分には財務分析が重要
経営資源の優先付けやリソースの配分などには、財務分析が重要

2.企業金融の目的とは?

コーポレートファイナンス(または企業金融)の主な目的とは、事業計画を立て、リスクと利益のバランスを考えながら経営資源を効果的に活用し、事業価値を最大化することです

ここで言う経営資源とは、『人・物・金・情報』などを指していると考えて良いと思います。

コーポレートファイナンス(企業金融)の目的
コーポレートファイナンスの目的は、事業価値を最大化すること

3.企業金融を統括する三つの重要な活動

ここで、企業金融を統括する、3つの重要な活動があります。

3-1.投資と資本予算(設備投資予算)

一つ目は『投資と資本予算』です。戦略コンサルタントとして、この投資と資本予算は一番大事な仕事と言えます。この『資本予算』は、『設備投資予算』と言い換えても良いと思います。

企業金融三つの活動『投資と資本予算(設備投資予算)』
企業金融三つの活動の一つ『投資と資本予算(設備投資予算)』

この項目では、最も効果的な収益を上げるために、会社の資本資産をどこに重点的に配置すべきかを計画します。このために、財務分析が行われます。

財務モデルなどのツールを使って、企業は設備投資の内容を把握、キャッシュフローを見積もり、それぞれの投資内容を比較検討、そしてどのプロジェクトを最終的に予算計画に含めるかを決定します。

財務予測モデルの事例
財務予測モデルの事例

一般的に財務モデルは、新規事業や金融投資における、会社の売上やリターンなどの経営的影響を推定し、そのプロジェクトの正当性を検証したり、または他の代替プロジェクトと比較検討するために使用されます。

企業のアナリストは多くの場合、内部収益率(Internal Rate of Return, IRR)正味現在価値(Net Present Value, NPV)を併用して、それぞれのプロジェクトを比較し、最適なものを選択します。

ただし、それら専門用語は、金融の専門家や投資家にとっては重要な知識となりますが、一般の方から見ると逆に混乱を生みかねないので、私は気を付けて使うようにしています。『シンプルイズベスト』です。

3-2.資金調達

二つ目は『資金調達』となります。この資金調達では、事業の株式や負債によって、資本投資(つまり設備投資)のための資金を最適に調達する方法について、意思決定が行われます。

企業金融三つの活動『資金調達』
企業金融三つの活動の一つ『資金調達』

この分野については、私一人で仕事をする場合は、あまり深入りはしません。関わるのはせいぜい、補助金の申請と、資本と負債のバランスをチェックするくらいです。

一般的には、株式を公開している会社であれば、大規模な設備投資や投資のための長期的な資金は、投資銀行を通じて市場で自社株式を売却したり、負債証券を発行することで得ることができます。

それと、資本と負債のバランスは、厳密に管理する必要があります。なぜかと言うと、負債が多ければ返済不履行のリスクが高まりますし、逆に資本に頼りすぎると、収益や投資家の価値が希薄化する可能性があるためです。

最終的に、加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital, WACC)を可能な限り下げることで、企業の資本構造を最適化するのが、金融専門家のお仕事となります。

3-3.配当と資本金の返還

三つ目の企業金融活動は『配当と資本金の返還』となります。この活動では、企業経営者は事業で得られた超過収益を、将来のためにそのまま内部留保として保持しておくか、配当や自社株買いの形で収益を株主に分配するかを決定します。

企業金融三つの活動の一つ『配当と資本金の返還』
企業金融三つの活動の一つ『配当と資本金の返還』

この三つ目の企業金融についても、二つ目同様、私個人は仕事としてあまり深入りはしません。なぜならば、投資銀行や大手企業で働く方、または投資家の方にとってこそ、必要となる知識だからです。個人コンサルタントの私は、基本だけ知っていれば十分に思います。

株主に分配されない内部留保は、負債が発生したり、株式の価値が希薄化する事が無いので、多くの場合、事業を拡大する際に最良の資金源となります。

企業経営者は、企業の資本コストを上回る資本投資の収益率を得られると信じた場合、それを追求する必要があります。

もし資本投資が資本コストよりも大きい場合、企業は収益の最大化を追求する

そして、期待される収益率が見込められない場合は、配当または自社株買いによって余剰資本を株主に還元する必要があります。

もし投資資本が資本コストよりも小さい場合、企業は配当や自社株買いを行って株主に還元する

4.資本構造を把握する事の重要性について

最後に、資本構造を把握・管理する事の重要性についてお話したいと思います。ビジネスの価値を最大化するためにも重要となります。

その構造は、長期や短期の債務、そして普通株式や優先株式などの組み合わせで構成されます。

資本構造は長期・短期債務と、普通・優先株式で構成される
資本構造は、長期・短期債務と普通・優先株式で構成される

企業の負債と純資産の比率は多くの場合、企業の資本調達がどの程度バランスが取れているか、またはリスクが高いかを判断するための指標となります。

負債によって多額の資金を調達している企業は、よりアグレッシブな資本構造で事業運営をしていると考えられます。より多くのリスクを抱えている事にもなりますが、これによってビジネスが急成長し、成功することもあります。

5.まとめ

初回の集中講座は、ここまでとします。

コーポレートファイナンス(つまり企業金融)の基本についてまとめてみました。一応基礎講座という事で、戦略コンサルタントとして私が仕事であまり使わなくとも、財務・金融アナリストとして重要と思われる知識は、出来るだけカバーするようにいたしました。

今後は、経営者の方や一般のビジネスパーソン(オフィスワーカー)の方、そして戦略コンサルタントにとって必要と思われる財務・金融知識を重点的に、ご紹介していきたいと思います。一か月くらいを目途に、この基本講座は完了する予定です。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう。

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